【第245話】広島県三次市 - 最新ネタ

【第245話】広島県三次市



【第245話】朝霧の悪戯
秋の乗り放題パス企画。
今年のネタは広島北部から島根県。長年温めた企画が愈々始まる。


今回の旅の主な目的は三江線と山陰本線である。
三江線に関しては2,3年前から友人と共に計画を立てていたのだが、病気になり体調を崩してしまったせいで長距離の旅をし辛くなってしまったことも重なり先延ばしの状態になってしまっていた。
そこに入ってきた廃線の報せ。ショックと共に日々三江線を応援してきた者としては落胆の思いを隠せずにはいられなかった。
もう四の五の言っていられる状態ではない。体調もやや上向きになりつつあるこの時にやらねばきっと後悔する。
友人は都合により参加できなくなってしまったが、そこで止まるわけにはいかぬ。
時期が時期なだけに傍から見れば死肉に群がるシデムシの如き葬式鉄の真似事になってしまったのが残念であるが、その分、乗り通しただけで満足するような有象無象の鉄オタの如き真似は絶対にしないと神に誓う。

名古屋駅

始まりは22時を過ぎた名古屋駅。
と言うものの、毎回思わぬ遅延を想定して予定時刻よりも早く着くようにしているので22時前には名古屋駅に着いていた。よく言えば用意周到だが、タダのビビリである。
バスの時刻は2230。何事もなく到着してしまうと暇で仕方がない(爆)。

日中はまだ暖かさがあるものの日が落ちると冬の始まりを思わせる寒さ。
夜行バスでの移動は予約も含め慣れてきたが、この寒さには流石にまだ慣れない。

広島ドリーム名古屋号

時間になり広島ドリーム名古屋がバスターミナルに到着。
現在広島ドリームはカーテン・コンセント付きの新型車両とカーテン・コンセントなしの二階建て車両が交互に運用されており、この日は新型である。

広島ドリーム名古屋号
▲なんちゅうセンスの靴下だ

席はトイレ後ろ。
事前の調べでは「トイレ後ろは足が伸ばせないのでハズレ席」と聞いていたが、新型はその辺りを計算して設計されており、足元に十分な広さがあった。前の席が倒れてくることもないので視界は広く、カーテンを閉めれば光が入ることもないのでこれは寧ろアタリ席ではないだろうか。

バスは移動と停車を繰り返し広島へ。
やはりカーテンがあるとないとでは気分も違う気がする。ただ慣れただけかもしれんが。

三次駅到着は予定だと5:50。これでは三江線始発の5:44には間に合わないが、夜行バスというのは渋滞がなかった場合早着することが多いので今回は其れに賭ける。
(確実に旅がしたいなら素直に前日三次泊まりのほうがいいよ)

七塚原で最後の休憩をとり三次へ。
時間は本当に微妙。定刻通りより7分早いだけなので信号にスタートダッシュすれば間に合うか……?
とか思っていたら高速降りた途端に信号に引っ掛かる。なんだっそら、耐えられない。

「三次駅到着でーす」

ウオオ、三江線始発は5:44!現在の時間は!?……5:44

三次駅

\ピィィィィッ!/
ゴゴゴゴゴゴ……


三次駅

なんだっそら、耐えられない。
それは試合終了のホイッスルか。目の前で浜田色のキハ120が闇に消えて行く瞬間を見てしまった。

三次駅

これほど悲しい事はない。
普通の駅ならば1時間もすれば次の列車が、となるがここは三江線である。次の列車まで4時間待たねばならない。
いくら「元々間に合わない時間設定だから代替案を複数考えてある」と言ってもそれは定刻通り亦は遅延で既に見えないところまで列車が行っていたという前提。
もしかしていけるのでは?という期待を持たせておきながら目の前で発車、「信号に引っ掛からなければ間に合ったかもしれない」という条件且つ4時間待ちではショックがでかすぎる。

三次駅

まだ朝日も差していない夜明け前のプラットフォームをウロウロし冷静になろうとするも流石に時間がかかる。
1番線にはキハ40・47の5両が停車しているが「おっ!長編だ!」と簡単に切り替えられるはずもない。

ただ、寒さもあったからか、それから直ぐに頭は冷えた。

ワシを誰だと思っておる!
路地裏見聞録管理人のしらたきだ!
これまでいくつもの悲惨な事件を体験してきたが全て乗り越えてきたではないか!
「時間がないからと言って廃線になってしまう路線を車で周るなんて、廃線を肯定しているだけで路線に対するリスペクトの欠片もない!あんなやつらと一緒にされたくない」と自分で決めた道ではないか!
自分の行動に責任を持て!抑々ここは広島北部だ!逃げ道はないぞ!
さあ行け!歩きだせ!お前の足は何の為にある!


ふっきれた。
三次駅トイレにて記念の放尿を行い、全てを水に流す(爆)。

三次駅

というわけで撮影開始だ。
手持ちコンデジでは撮れる質もたかが知れているが、記録して残す分には十分である。

三次駅

とある路線だけ時刻が異様に離れている。如何に閑散であるかと共に2両の文字がさらに絶望を生む。
閑散路線で2両とは一体どういうことが起きるのか、読者なら想像が付くであろう。覚悟しなければならない。

尚、今回は三江線での利用だが、広島ドリームは時刻表の通り備後落合行き始発に余裕で間に合うし、福塩線に乗りたい場合も府中行きが間に合うので利用価値がとても高い
東海の旅人は数が少なくなった国鉄気動車5連も併せて一度利用してみるといいだろう。

さあ探訪開始だ。
こんな早朝に空いている店と言えばすき家ぐらい。
吉野家派の私が入店するわけもなく、ここでは何も食べず昼まで腹を空かせてあちらで沢山食べることにする。

卑弥呼蔵

ということで駅から30分歩いて三次町の卑弥呼蔵にやってきた。朝霧の巫女ファンの聖地と言えよう。

卑弥呼蔵

私が三次に来る前日までここでは10年続いた北の蔵プロジェクト「ゴミとお宝は紙一重」という催し物が開催されていた。
今回は「540坪の敷地内に540本のゴミ傘の花を咲かせた下で遊ぶ2日間」である。

1880年から続いた酒蔵が2004年に閉鎖した。その後、無人の3年間で老朽化はあっと言う間に進んだ。
1782㎡の敷地内に5棟の蔵が片寄せあって建っている。棟と棟の隙間も屋根からも雨漏りだらけになっている。
蔵を壊して新しい建物にするほうが、コストも時間も早道である。しかし残して明治から続いた三次町の文化を継承したい。
その為には常時、閉まっている門戸を開けて多くの人に現状の蔵の姿を見てもらい今以上に、意見と協力を仰ぐ必要がある。
その第一歩が「お宝とゴミは紙一重」蔵プロジェクトである。
このプロジェクト以後は敷地の隅の荷造り場であった蔵を改装して、地産食材を使ったメニューを出すcaféをつくる。
「営む蔵」にと日々再生の道を歩いている。


漫画家というのは出版社が東京に集中しているせいで東国へ出て行ってしまう者も多いが、朝霧の巫女の作者である宇河弘樹氏は三次に留まり、三次を盛り上げようと頑張っている。
その思いに感服の念しかなく頭が下がる。

中国山地の真ん中に三次(みよし)盆地がある。
標高は約150mで江の川、馬洗川、西城川、という三本の一級河川の合流地であり弥生遺跡は中国地方一の出土数である。
江戸時代からは浅野長治公が、商業と文化の基礎をこの地につくり急速に栄えはじめた。
江戸後期には「稲生物怪録」が、書かれ日本に於ける妖怪の里と言っても過言ではない。
現在、宇河弘樹氏の「朝霧の巫女」はこの書物を元に描かれたアニメとコミックである。そのおかげで三次に訪れる若者が急増している。しかし過疎な町である。
開催地は三次市三次町の元酒蔵である。
名称は「万寿の井酒造」で創業明治13年~平成15年まで続いた。
「三次で一番古くて旨い酒」と言われながら幕を下ろした。蔵の傍には西城川に繋がる。蔵の脇には長さ100mそこそこの鉄蔵(かなくら)小路という名称の小道がある。
旧出雲街道に建つ酒蔵の前身は鉄蔵だった事実が伝えられている。
鉄は、コメや木炭などと共に舟運の代表的な積荷。中国山地で盛んだった「たたら製鉄」の鉄は、西城川を高瀬舟で下って太歳町(三次町)で荷揚げし鉄蔵小路を通って蔵に納めた。
そして馬で大田川上流の向原まで運び、再び川舟によって広島の鍛冶屋町に運ばれたのだ。
蔵の上流のカケハシの瀬では運搬中に転覆して沈んだと思われるたたら製鉄の半製品「ナマコ」が、70~80本見つかっている。
蔵は敷地ないに、コの字に並んでいる。その中で江戸時代からあるとされる古くて大きい蔵に、幅3mの大階段がある。その階段下に不可解な3.5m四角の隠し穴が見つかった。
酒蔵時代の大吟醸酒を、貯蔵していた地下室は別の蔵にある。
「大階段の下の隠し穴」は、江戸の時代に「鉄」を隠していたに違いない。と想像されている。
江戸→明治→大正→昭和→平成と、建物内で営む、各時代の刻みの発見が各所にある。

たたら蔵から酒蔵への変身を、詳しく語ってくれる人は、この世にいない。
いずれにしても職人の作業の場であり、住まうことのなかった建物群だ。建物には、随所に職人の工夫が見受けられる。壊してしまえば二度と目にすることはないであろう。
老朽化も進み、屋根の意味もなく雨漏りも増える一方である。しかし一番古い大蔵の屋根(360㎡)だけは、瓦職人の協力のお陰で吹き替えが完了した。
付け足し付け足しで仕上げて繋げた「蔵」の中を歩くと、麹菌で汚れた壁が何気に「これだけ汚すには時間がかかったんだぞ!」と、言いたげである。

三勝寺山と比熊山との間に西城川が流れ蔵が存在し、酒米を蒸すときに使われていた遠くから見える煙突が今でもシンボル的にある。
「春は尾関山の桜、夏は江の川の鵜飼、秋は高谷山の霧の海、冬は太歳町の卑弥呼蔵」と、言われるくらいの蔵の存在になるように、一歩ずつ地道に進んでいる発展途上の場所である。



卑弥呼蔵

霧の町・三次の下に傘の花が開く。
祭りが終わった後の風景も情緒がありいいものである。

卑弥呼蔵

青猫の蔵は民宿として利用されている。
1泊2食付:9,180円/人、素泊まり:5,400円/人。
駅からは遠いが、「一日朝霧の巫女に浸りたい」「三次町を満喫したい」場合には最高の民宿である。

本当は中に入って傘の花をもっと見たかったが、早朝に敷地に入るのは流石に憚られたので遠くから眺めるだけにしておく。

卑弥呼蔵

三次町を散策する上での掟。当たり前のことばかりだが、改めて喚起することはどちらにとっても大切なことである。

太歳神社

卑弥呼蔵の北、道路とぶつかる辺りには朝霧の巫女で最も重要な場所、太歳(ださい)神社がある。


▲バンダイチャンネルで配信中である。

大同3年(808年)、出雲国神門郡青柳郷吹上島(現在の島根県出雲市)より勧請。
主祭神は木花佐久夜毘売命(一般的に木花咲耶姫:コノハナノサクヤビメ)、相殿神は天津彦々火瓊々杵尊(一般的に瓊瓊杵尊:ニニギノミコト)、大山祇神(オオヤマツミ)である。
尚、サクヤは天照大神(アマテラス)の孫であり、ニニギの妻であり、オオヤマツミの娘でもある。
木花咲耶姫は妻の守護神、安産の神、子育ての神とされ、主に富士山を神体山としている富士山本宮浅間大社とその配下である浅間神社に祀られている。

太歳神社

柱には、

皇威(天皇の威光)赫々光(光り輝く)四表(世の中)
神徳(神の功徳)洋々綏(安らぎに満ちている)萬邦(あらゆる国)

と彫られている。要は神は偉大ということである。



それにしても最初は朝霧の巫女の聖地巡礼がてらという気持ちであったが、苔と霧が相まって一層荘厳な雰囲気が漂い思わず惚れてしまった。背筋が伸びる思いである。

太歳神社

アニメ放送から14年、連載終了から9年経った今もこの地で愛され続ける作品である。
もう恒例なので言う必要もない気がするが、神社に来たからには参拝と共に絵馬晒しをしなければならない(戒め)。

太歳神社

サクヤは安産や子育てに関係しない願いは叶えぬと言うのか、それとも蝦夷の邪教に力が及ばなかったと言うのか、少年の純粋な願いは残念ながら成就されなかった。
それにしても芸備の民のカープに対する愛(ここまでくると必修科目、英才教育、宗教とも言えよう)には毎回恐れ入る。

太歳神社

最初は汽車に間に合わずガッカリしていたが、太歳神社を去るときには名残惜しささえあった。
来た甲斐があったと共に「朝霧の巫女」という作品がこの世に生まれ、全盛期にこの作品に触れることができて本当によかった。

尾関山駅

唯来た道を戻るだけでは勿体無いので、折角なので尾関山駅に立ち寄り三江線に乗って三次駅に戻ることにする。

尾関山駅

この駅には三次SL保存会が設置した駅ノートがある(見てみようとノートを触ると中からニホンヤモリが出てきて思わず声が出た)。

捲ってみると他の駅とは違い、三江線に対する考え方や廃線を免れるにはどうしたらいいか「三次~尾関山のピストン輸送だけでもやれば子供たちの通学に使えるのでは」「運用時刻の改善」等建設的な意見が散見され非常に有意義なノートになっていた。

尾関山駅

それにしても流石霧の町……今日の天気予報は晴れだと言うのに雨が降りそうなぐらい霧が立ち込めている。

そろそろ汽車が来る時間。……が。その時事件は起こった。

ホームの端からカーブをズームで撮るのがいいかとカメラを30mm以上にズームしようとしたその瞬間……

プープープーガガガ……

「レンズの状態を確認してください」







おおお、落ち着け、こういうのは電池を入れ直して大体レンズを再装着すれば直る症じょ……
「レンズの状態を確認してください」



なんだっそら、耐えられない。ミラーレス一眼、半壊(苦)。

先程まで何事もなく使えていたのに太歳神社から尾関山駅に至る道までの間に一体何があったのか?
30mm以下は何事もなく使えるのが更に意味不明である。そして何より30~42mmは結構使う焦点距離なのが辛い。

この後の旅で望遠レンズ(40mm~150mm)に変えて撮影してみたがこちらは何ともなかったので、どうやらレンズに問題があるらしい。
帰宅後調べてみると同様のケースに引っ掛かった人がいたらしい。入院確定である。

しかし旅は始まったばかり、ここで慌てても仕方ない。
なんとか14~29、40~150mmで頑張っていくしかない。

キハ120浜田色

漸く会えましたね、浜田色さん……

そう思いたかったがそれどころではない。いつもの癖で焦点距離を30mm以上にしてしまいその都度「レンズの状態を確認してください」と画面が切り替わってしまい慌てて戻して撮った写真はあまりにも近づきすぎた。

旅が終わるまでにこの状態に慣れることができるのか!?
これから先何も事故なく旅を終えることができるのか!?





次回に続く!



No.245朝霧の悪戯
場 所広島県三次市
日 時2016/10/18霧→晴
備 考卑弥呼蔵
引 用朝霧の巫女(1) (ヤングキングコミックス)
朝霧の巫女(1) (ヤングキングコミックス)
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2017/05/22 (Mon) 11:38 | EDIT | REPLY |   

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