【第44話】静岡県浜松市 猪鼻湖 - 静岡

【第44話】静岡県浜松市 猪鼻湖

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【第44話】あの湖で待ってる
いつものようにグーグルマップを使い面白そうな地形を探していた。
すると「浜名湖の北西部に猪鼻湖という湖があり、神社もある」との情報を得た。見聞録創始以来天浜線に乗ったこともなかったので私は迷いなく猪鼻湖へ向かった。


遠州浜名湖鉄道

天竜浜名湖鉄道新所原駅。静岡県最西端の駅である。
駅舎にはうなぎ屋が併設されており、国産うなぎが食べられる他うなぎの駅弁も購入することができる。また、うなぎうどんなる風変わりなものまである。
今回は冬だったのでついでに食べるということはしなかったが、もしかしたらそのうちこれだけのために再訪するかもしれない。それぐらい駅併設のうなぎ屋は珍しい。

その昔は国鉄二俣線として営業し、末期にはキハ20系が2時間に1本の割合で運転されていた。現在は1時間に1、2本であるため、厳しい運営事情ながらも頑張っていると言えるであろう。
また、その末期に活躍したキハ20系は今天竜二俣駅にて静態保存されているそうだ。一度出かけてその往年の姿をカメラに収めるのも一興かもしれない。

※うなぎ屋「やまよし」は新所原駅工事により、平成28年9月20日~平成28年11月20日までは休業となる。

遠州浜名湖鉄道

発車を待つ列車の車窓からはJR新所原駅に入線してきた211系を見る。2007年までに来ていたらここに写っている電車は湘南色115系だったかもしれない。

遠州浜名湖鉄道

初乗車した天浜線。……が、どうにも初という感じがしない。
それはもしかしたらTH2100形の顔面、車内のシート配置、エンジンがカミンズ社製で前回乗ったキハ11形と色々と被って見えたからかもしれない。

尾奈駅

新所原から列車に揺られること14分。今回の目的地、尾奈駅に到着した。
平日昼間のローカル線ということもあって車内はガラガラであり、快適な鉄道旅ができた。

尾奈駅

駅名標。名前が名前だけに覚えたてのいやらしい単語をひけらかす中学生ような悪戯がされている。
ここでは「昔の列車には至る所に名前と電話番号が書いて(削られて)あった」と笑って対処するが、真面目に言えば建造物等損壊罪等に当たる可能性があるので注意しなければならない。

尾奈駅

ご丁寧にこちらにも刻印されていた。

尾奈駅

尾奈駅は築堤上に位置する高架駅のため駅舎2階が待合室となっている。地元有志によって置かれた座布団が心温まる。

尾奈駅

駅を降りていく。安っぽい木目調プリントの壁とギシギシ音を響かせながら耐える足元の木のアンバランス感が印象的であった。

浜松市

尾奈駅を出て南下し、猪鼻湖を左手に今回のメインである「猪鼻湖神社」を目指す。
暫く歩くと赤色が印象的な瀬戸橋が見えてくるので迷うことはない。

浜松市

瀬戸橋には二種あり今回は赤いほうではなく猪鼻湖側にある銀の橋を利用する。
歩行者専用というわけでもなくこちらも車が通るので通行には注意が必要である。

浜松市

赤いほうの瀬戸橋からどんどんと離れていく。
愈々引き返せない旅が始まった感じがした。

猪鼻湖神社

目的地である猪鼻湖神社を橋の上から眺める。
この風景にミリタリーオタクはピンと来たかもしれない。
ここはこの撮影から1年経った2013年1月に「四式中戦車『チト』」が沈んでいるかもしれないと話題になった場所である。
当時は戦車アニメ「ガールズ&パンツァー」が最盛期だったこともあり、この話題はあっという間に日本中を駆け巡った。
結局その後見つからなかったこととオタク特有の熱の冷めやすさも乗じてこの場所も平穏を取り戻したそうだが……。

浜松市

1年後に有名になる場所なんてことはこの時は予想できるはずもなく、私は純粋に風景を楽しんだ。
猪鼻湖神社へは瀬戸橋付け根にある階段で服を濡らさずに参拝することができる。

猪鼻湖神社

湖であるが、海水と淡水が入り交じっている汽水湖であるためかどこか穏やかな海の雰囲気を漂わせる。

猪鼻湖神社

泣いてるよ あなたのゴミで 自然たち

人間の勝手な解釈で自然の気持ちを代弁したありがちな標語であるが、その気持ちが嬉しかったのかこの標語の足元には三つ葉のクローバーが咲き誇っていた。

しかし二橋君もまさか昔の人間がここに大きな鉄屑を捨てたと話題になって大人たちが宝探しを始めるようになるとは思いもしなかったことであろう(爆)。

猪鼻湖神社

風格のある石鳥居である。
建てられたのは「創立年度不詳、文化元年七月七日修理の棟札在り。古老の伝える所によると、本社は其の位置浜辺にある故に大風雨に当たり流失すること数度、従って、其の創立及び再建の年月等詳らかならざるも南北朝の初頭、浜名左近大夫清政再建して以来同一門の尊敬極めて厚かりし如く文化元年七月七日修理の棟札のみは存在する。」とのことで由緒によると十二代影行天皇紀元742年(199年)より以前にはもう鎮座していたという。勧請は影行天皇19年と伝われている。

猪鼻湖神社

猪鼻湖神社境内。
看板には由緒が書かれており「鎮武の神国土安泰、庶民家運隆昌を祈願し、漁業を業とする人、近郷遠里を問わず海上安全、大漁豊漁を祈願し五穀豊穣を祈願し社前に船を列らね神楽を奏し奉納せられし」とあった。

猪鼻湖神社

御祭神は武甕槌命と市杵嶋姫命。
前者は雷神、後者は九州の海洋神である。

猪鼻湖神社

小島に繋がる小さな赤い橋は「しんはし」と書かれていた。

猪鼻湖神社
猪鼻湖神社

誰もいないので時間配分さえ間違えなければ何をやっても良い。ただ、かなり寒かったので留まることはあまりなかった。

浜松市

神社参拝後は猪鼻湖一周である。約20kmある道のりを足が使えなくなるまでひたすら歩き続ける。今思えば相当なアホであった。

この日は北風が強く時折前かがみになりながら歩いていたのだが、時折通過する車の運転手がこちらを見て不思議そうな顔をしているのもよくわかる。

「こんなところでそんなことをして一体何の意味があるのだろう?」

しかしそんな馬鹿げたことでもやりたいと思ったから、面白いと思ったからやっていたのが当時の自分であった。

浜松市

当時の自分はまだ体力があったため、朝から飲まず食わずの体でも結構余裕があった。
ただ、突き刺さる寒さだけはどうにもならず「さぶっ、さぶっ」と小言を呪文のように唱えつつ一歩一歩足を進めていた。

浜松市

突然草垣にぽっかりと穴が出現した。これがゼルダの伝説か。
中をコッソリと覗いてみたが、どうやらミカンを育てているようだ。
こういった穴を見るとつい入りたくなってしまうが、住居侵入罪で訴えられるのも嫌だったので気持ちを抑えて後にした。

東急リゾートタウン浜名湖

更に湖沿いに歩いていくと突如立派なマンションが現れた。 どうやらここが東急リゾートタウンのようだ。

東急リゾートタウン浜名湖

流石にオフシーズンの平日とあってどこも空き家のような静けさである。
ウロウロして写真を撮っている姿がどう見ても不審者なので(爆)長居は無用だ。

都筑駅

井口酒店にて瓶コーラ自販機を見つけてしまったので思わず一本購入し、都筑駅へ。

駅には手作りパンを提供するメイ・ポップというカフェベーカリーが併設されている。
駅右手には像の形をしたトイレがあるが、あまりの臭さに鼻がバカになるかと思った。

都筑駅
都筑駅
都筑駅

都筑駅ホームと新旧駅名標。このフォントが良い。

浜松市

ここから列車に乗って帰る……ことはせず、引き続き猪鼻湖に沿って歩く。
珍しくまだ体力に余裕があり、三ケ日までは何事もなく行けるような感じはした。

浜松市

暫く歩くと道が天浜線と湖に挟まれた。撮影スポットにもなり得る場所であろうか。
線路が道より少し高いところに敷設されているので車窓からの眺めは良さそうだ。

浜松市

文明の利器を使って時刻表を調べてみると然程待たずして列車が通過するとのことだったので、折角なので一本列車が通過するのを待つことにした。

おもちゃではないのだから此方側に脱線して転がってくるということはあり得ないのだが、どうにも恐さがあったのと運転の妨げにならないよう少し遠目から撮影。
邪魔になるものが一切ないので、撮影スポットとして丁度いい場所なのではないだろうか。

浜松市

天浜線に別れを告げ、引き続き湖沿いを歩く。
暫く写真のような風景が続くのだが、今まで色々な場所を無駄に歩いた経験が活きたのか不思議と飽きは来ない。
海や湖が近くにある場所に住んでいないので、目の前に水を湛えた空間が存在しているだけでそれは真新しい発見なのである。

浜松市

暫く歩くと不思議な場所に到着した。
鳥居と祠あり、これは神社なのかと鳥居をくぐってみると、この辺りだけ水が引いており猪鼻湖を水面と同じ高さで眺めることができる。
猪鼻湖を見渡せとても開放的な場所であるが、同時に穏やかな波が恐ろしくも感じた。湖が迫ってくるような感覚に囚われたのだ。

一体あそこは何だったのかと家に帰ってから調べてみたのだが、どうやらここは「沖の瀬御殿」と呼ばれる場所らしく、三ケ日町の昔ばなしとして伝承されている「お千代姫伝説」に出てくるお姫様の療養所が、この沖の瀬御殿跡だったそうである。
何気ない場所も調べてみると面白い発見があるもんだ。

浜松市

湖ばかり見てきたのでたまには空を見よう。
若干陽が落ちつつあり、旅が終盤であることを物語る。

浜松市

湖の向こう側の風景を見て「今日の終わりはあの辺りかな……」なんてことを想定する。
ここまで胃袋に入れたものは瓶コーラ一本だけだったので流石に空腹になってきた。

「帰りに豊橋で何か食べるものを買うか。いや冷蔵庫に何かあったかな……」

列車内で考えればいいものを何故かこんなところで考える。

浜松市

カーブを過ぎると三ケ日中学校。

この猪鼻湖の周りには至る所に俳句の石碑があり、これもその一つなのだが……

浜松市

蜜柑山の 上の上なる 山もみかん

なんだっそら、耐えられない。
この感想に困る句。それだけ三ケ日はみかんのまちなんですよ!と言いたい気持ちはわかるが、それにしてもなんだが腹の立つ句である。

浜松市

三ケ日中学校を横切り再び天浜線と再会。一日湖沿いを歩いていただけなので迷うことはなかったのだが、やはり線路を見ると安心する。

三ケ日

ついに三ケ日駅まで来た。キリがいいのでこの辺で切り上げようかとも思ったが、まだ奥浜名湖駅が残っていたので、手を抜いてはいけないと思い奥浜名湖駅まで歩いた。
奥浜名湖駅の写真がないのは乗りたい列車の時刻が迫っていて焦っていたからである。
手は抜かなかったが、詰めは甘かった(爆)。



No.044あの湖で待ってる
場 所静岡県浜松市 猪鼻湖
日 時2012/01/30
備 考天竜浜名湖鉄道株式会社公式ウェブサイト
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